20140514

20140514 制作メモ 『雲』

        『雲』1992年23歳の時の作品。409×318mm 油彩



雲が月になろうとしている。月は雲と混じり合い雲にエキス化したりしている。月は闇とも交信してるのかも。なんて、後付けの物語の感じ。描いてる時はそんな意図はない。触感で奥行きを探っている。
大学卒業間際に、卒業制作の傍らで描いた。深い色面の上に白でマットなマチエールを持たせながら形を偶発的に描くことが多くなった。

卒制はさらに白が多くなり、お金がなくてペンキ屋さんで胡粉を安く買い、それでカサッとした触感のマチエールを求めた。微妙な白のなかの階調を手触りとして見たかった。白で覆い尽くされた質感のある世界、マットで不透明なのに、その奥に隠されたものが重層化している世界を見たかった。



☆胡粉じゃなければ、というような物質へのひっかかりが出てきたのは、この時からじゃないかと思う。雰囲気的な質感や、表面的なマチエールのためではなく、自身のメチエの要求要素として、身体的な必要性が出てきたのだろう。

☆物質と関わりながら思考する、という意識で素描をしていたが、物質そのものがリアル、存在なんだということに、今年初めあたりに気づいた。それは、身の回りの山や、土や、空などの風景を見ていて実感された。

☆地元での生活が、そういった気付きをじかにもたらしてくれているように思う。それらは、今後より豊かに増していくのではないかと感じる。描画物質を、表現のための借り物とか、フィルターとして使うのではなくて、それぞれの物質や事象の持つ世界をいかに感じ取り、受容できるのか。その中で、いかに生きられるのか、ということだろうか。