20180306

もやり

制作中鉛筆素描部分




美しいのさ
美しいかたちが好きなのさ
きりきりに
もうこの線、これ以外はないよって
一発でひりひり
寄せつけないのさ
ほかのなにも
もの言わせないのさ
だってあたし精一杯

これ以上なにやれっていうのさ
だれにも文句なんか
いわせねぇ
そういう線描いてやる
ってね

触れたら切れるのさ
ひりひりと
痛くて

でもさそんなふるふるの
ぶるぶるの
細かに振動している
もうここにしかない決めの線

そんな線を見極めてさ
そんな線ばかりで描いて
すべてをつなげて一つの世界をって
まるで無鉄砲な試みを

やるのさ
やっているのさ
やっていたのさ

だれにもなんもいわせねぇって
意地で根性で
まったくくそったれなひねくれもんさ

そしたらね
きりっきりに描いてたはずの線が
集まるにつれて
重なっていくにしたがって
ぼんやりとしてひろがって
無限

無限にやわらかく
無限に切り立って

現れてくる世界は
ひりりとしてじわり
浸透するほど透明が存在しはじめる
かかえきれないほど遠くて

つかみとれない
ひろがりつづける感触で
なんだかね

開け放たれ
解き放たれ
ふくらんで
散り散りに
どの階層さえ
すきまなく
もや広がり
すきまだらけの
空間で
もやの海で溺れそうになって
無我夢中で手を動かしてって


それはさ
もう
きりっきりのくそったれ世界なんか
ぶっとばして超えていくのさ
飛び越えていくのさ
超えることを気づかせてくれるのさ


現れるんだ

ちっぽけな動機なんか
吹き飛ばされて
無限の優しい
無限の怖い
無限の恐ろしい
無限のあたたかい
無限の好奇心を
ずっと吸い取ってくれる

現れてくる
ちからづよい
ほんとうの
もやり